登記申請の手順を解説していきます。
登記の手順
会社設立する際の登記申請は原則として代表取締役が行うものですが、その手続きは多岐にわたるため、司法書士などの専門家に任せることも視野に入れておくと良いでしょう。ご自身で行う場合は、次の手順に従ってください。
書類に不備がなければ、登記申請から7~10日程度で会社登記は完了となります。
登記必要書類・登記申請書を用意する
会社登記する際に必要な書類は、以下になります。なお、設立登記申請書は様式が定められており、様式が異なったり、記載事項に不備があったりすると補正(訂正)となりますので注意しましょう。
- 設立登記申請書
- 定款
- 登録免許税納付用台紙
- 発起人決定書(発起人が複数の場合は発起人会議事録)
- 代表取締役の就任承諾書
- 取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 印鑑届書
- 出資金の払込証明書
設立登記申請書
法務局の「商業・法人登記の申請書様式」ページからテンプレートをダウンロードすることができます。記載要項についてもサイト上で確認できますので、併せて参考にしてください。
定款(謄本)
作成済みの定款の謄本を1部用意します。
登録免許税納付用台紙
登録免許税納付用台紙とは、登録免許税分の収入印紙を貼り付けるA4サイズの台紙のことです。株式会社の登録免許税は「資本金額×0.7%」となり、計算式により算出される金額が15万円に満たないときは、登記申請1件につき15万円になります。(資本金2140万円まで登録料15万円)
収入印紙は郵便局などで購入し、A4サイズの用紙の中心に貼り付けて提出します。
発起人決定書(発起人議事録)
発起人の決定書とは、会社の発起人が商号や目的、本店の場所などを詳細に決定したことを記載した書面のことです。
例えば、定款に記載する本店所在地について「最少行政区画(東京都千代田区など)」までしか定めていない場合、番地までを含む詳細な住所を、この決定書で示すことになります。もちろん、定款に本店所在地を詳細に記載しているときは、決定書に記載する必要はございません。
また、定款で「代表取締役を株主総会で選定する」と記載している場合には、この発起人の決定書に代表取締役の氏名を記載し、誰が代表取締役であるのかを明らかにします。
代表取締役の就任承諾書
代表取締役の就任承諾書とは、代表取締役に就任することを承諾したと証明する書類になります。取締役が1名だけであり、その取締役も代表取締役と兼務しているときには必要ございません。
取締役の就任承諾書
取締役の就任承諾書とは、取締役への就任を承諾したことを証明する書類です。
監査役の就任承諾書
監査役の就任承諾書とは、監査役に就任することを承諾したと証明する書類になります。監査役を設置する場合に必要です。
取締役の印鑑証明書
取締役の印鑑証明書が必要となります。定款を作成し、認証を受けたときに取得した印鑑証明書と同じものとなります。取締役が複数の場合は全員分を取得する必要がありますが、取締役会を設置しているときは代表取締役のみになります。
印鑑届書
印鑑届書とは、法人実印の届け出を行うために必要な書類です。
出資金の払込証明書
出資金を払い込んだことを証明する書類です。出資金を払い込んだときに作成した銀行通帳の表紙、表紙をめくった裏表紙、入金確認が分かるページのコピーに、「払込証明書」であることを記載した表紙(払込金の総額や設立時の発行株式数、日付や本店所在地、商号などを記入し、法人実印を押したもの)をつけて製本(ホチキス止めで冊子化)してください。このとき、各ページに割印をしておくことも大切です。
申請書の代替で電子記録を使用する
申請書に記載する事項のうち、登記すべき事項については、申請書の記載に代えてCD-Rなどに記録・保存して提出することができます。その際、CD-Rなどが申請書の一部となるため、内容を別途印刷して添付する必要はございません。なお、CD-Rなどの規格や記載方法は細かく決められているため、法務局の「解説ページ」を事前に確認しておきましょう。
登記申請をしよう
会社登記を申請する先は、会社の本店所在地を管轄する法務局(登記所)です。管轄法務局が異なると受理されませんので、法務局の「管轄のご案内」ページから確認するようにしましょう。
なお、会社登記を申請するときは、必ずしも法務局に出向く必要はございません。郵送、あるいはオンラインで申請することもできますので、やりやすい方法を選んで登記申請を行いましょう。
法務局に直接申請
管轄法務局の窓口に直接、会社登記(法人登記)に必要な書類とデータ一式を提出する方法です。内容に問題がなければ申請から約7〜10日で登記が完了し、法務局が申請を受け付けた日が会社設立日となります。なお、法務局側から登記完了の連絡はございませんので注意しましょう。
ただ、提出書類に不備があったときには、当該法務局の登記官から連絡があります。そのときは、指摘された箇所を補正(訂正)して、指定された期限内に再提出しなければいけません。登記書類の提出時は職員にお願いをして、書類の内容を確認してもらいましょう。
郵送で申請
管轄法務局あてに記入した書類一式を郵送して登記申請する方法です。郵送方法は何でも構いませんが、できれば確実に届いたことが分かる簡易書留や特定記録などで送ることをおすすめします。
なお、書類が法務局に到着した日が会社設立日となりますが、設立日の希望がある場合は、配達日指定の郵便を利用しましょう。登記が完了するのは、法務局へ直接申請する場合と同じく7〜10日後となり、同じく登記完了の連絡はございません。申請書類に不備があった場合は、法務局に直接再提出するか、郵送で補正(訂正)することができます。
オンラインで申請
法務局が用意している登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと 供託ねっと」から、オンライン登記をすることもできます。インターネット上でさまざまなやりとりが完結するため、とても便利です。
この申請方法では、専用ソフトをダウンロードし、それを使って申請する必要があります。また、オンライン登記には申請人による電子署名が必要となるため、電子証明書も取得しておく必要があります(電子定款を作成しておけば必要ございません)。
ほかの方法とは違い、申請書類に不備があった場合の補正(訂正)は、専用ソフト上で行うことができます。
会社登記時に得をするには
会社が支払わないといけない税金のひとつに「法人住民税」があります。この税金には、法人税額(所得から算出される)に住民税率を乗じた「法人税割」と、法人の資本金別などで定額となっている「均等割」の2つがあります。
例えば、東京23区内に事業所があり資本金が1,000万円以下かつ従業員50人以下だとすると、法人住民税の均等割は12ヵ月で7万円(1ヵ月あたり約6,000円)です。6月2日に会社を設立して期末を5月31日に設定したとすると、第一期は「12ヵ月-1日」となるため11ヵ月計算となり、第一期で支払うべき法人住民税が1ヵ月分(約6,000円)マイナスとなります。そのため、月初の1日を避けるようにすれば、わずかですがお得になるというわけです。